金子FP事務所
退職金・年金受給最適化

確定拠出年金は退職金とは別。退職前に確認したい3つのこと

「会社の退職金と、確定拠出年金は、同じものですか?」

退職を考え始めると、会社の制度の話が一気に増えます。退職金、企業年金、確定拠出年金。名前が似ていて、どれが何なのか、分からなくなる方も多いと思います。

結論から言うと、確定拠出年金は、会社の退職金とは別の制度です。ただし、会社の中で、退職金と確定拠出年金がどういう関係になっているかは、会社によって違います。自分の場合がどうなのかは、会社の規程で確認する必要があります。

※制度は2026年10月時点の公開資料に基づきます。実際の手続きや税額は、勤務先、金融機関、税務署、税理士に確認してください。

確定拠出年金とは

確定拠出年金は、毎月の掛金とその運用益の合計をもとに、将来の給付額が決まる年金制度です(厚生労働省)。掛金を会社が出す「企業型」と、個人が出す「個人型(iDeCo)」があります。

会社の退職金は、会社が決めた規程にもとづいて支払われるお金です。一方、確定拠出年金は、自分で運用の方法を選び、運用の結果で受け取る額が変わります。ここが大きな違いです。

会社の退職金確定拠出年金
お金の出し手会社企業型は会社(個人型は自分)
運用会社の制度による自分で商品を選ぶ
受け取れる額会社の規程による運用の結果で変わる
受け取れる時期規程による(退職時が一般的)原則60歳から(厚生労働省)

※表は一般的な整理です。勤務先の制度によって違います。

確認したいこと① 自分は、確定拠出年金に入っているか

まず、会社で企業型の確定拠出年金に入っているかを確認します。入っている場合は、会社の退職金とどういう関係なのかも、確認します。退職金とは別に用意されているのか、退職金の制度と合わせて設計されているのかは、会社によって違います。

どちらなのかは、会社の退職金規程と、企業型年金の規約に書かれています。人事部門や、運営管理機関(会社が委託している金融機関)に確認できます。

iDeCoに自分で入っている方は、会社の企業型とは別の制度です。iDeCoは、国民年金の被保険者の区分によって、加入できる人が決まっています(厚生労働省)。会社を辞めると、この区分が変わります。そのあと掛金を続けられるか、どんな手続きが要るかは、加入している金融機関に確認してください。

確認したいこと② 60歳前に辞めるなら、「6か月以内」の手続き

早期退職のように、60歳になる前に会社を辞める場合は、特に注意が必要です。

企業型の確定拠出年金の加入者が会社を辞めて資格を失うと、積み立てた資産を、6か月以内に、iDeCoや他の企業型などに移す手続き(移換)をする必要があります(厚生労働省「年金資産の持ち運び(ポータビリティ)」)。

この期限内に、移換も、脱退一時金の請求もしないと、資産は国民年金基金連合会に自動的に移されます(同上)。自動で移ると、次のことが起こります(同上)。

  • 資産の運用がされません。
  • 管理手数料を負担します。
  • 自動で移っている間の期間は、老齢給付金を受け取るための「通算加入者等期間」に入りません。

通算加入者等期間が、60歳の時点で10年に満たない場合は、受け取りを始められる年齢が先に延びます(厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」)。つまり、手続きを忘れると、将来の受け取りの時期にも影響が出ることがあります。

期限を数え始める日は、会社や運営管理機関によって案内が違うことがあります。退職日が決まったら、会社の担当部門か、運営管理機関に、「退職後の手続きと、いつまでに必要か」を確認します。

※脱退一時金(資産を一括で受け取る手続き)は、一定の要件を満たす場合に限られます(厚生労働省)。「辞めたら引き出せる」とは考えないでください。

確認したいこと③ 受け取り方で、税の扱いが変わる

確定拠出年金を、60歳以降に一時金で受け取ると、「退職所得」とみなされ、退職所得控除が使えます(国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」)。

退職所得控除と、課税の計算の流れは、会社の退職金と同じ考え方です。詳しい計算は、こちらの記事で説明しています。

一つ、注意があります。会社の退職金と、確定拠出年金の一時金を、近い時期に受け取ると、控除の計算が変わることがあります。どの期間が対象になるかは、制度が見直されており、この記事では書きません。受け取る前に、勤務先、税務署、税理士に確認してください。

年金の形で受け取る場合の税の扱いも、ここでは書きません。受け取りの方法を決める前に、金融機関や税務署で確認してください。

よくある質問

Q. 確定拠出年金は、退職金の代わりになりますか。

A. 別の制度です。会社の中で、退職金と確定拠出年金がどういう関係になっているかは、会社によって違います。自分の会社がどうなっているかは、退職金規程と企業型年金の規約で確認してください。

Q. 退職金と確定拠出年金は、両方もらえますか。

A. 会社の制度によります。両方が用意されている会社もあります。まず、退職金規程と企業型年金の規約を確認してください。

Q. 退職したあと、確定拠出年金を放っておくとどうなりますか。

A. 企業型の場合、60歳前に退職して6か月以内に手続きをしないと、資産は国民年金基金連合会に自動で移されます。運用されず、管理手数料がかかり、その期間は通算加入者等期間に入りません(厚生労働省)。

まとめ

確定拠出年金は、会社の退職金とは別の制度です。退職前に確認したいことは、次の3つです。

  1. 自分は、確定拠出年金に入っているか。退職金とどう関係するか。
  2. 60歳前に辞めるなら、企業型は6か月以内に手続きが要る。
  3. 受け取り方によって、税の扱いが変わる。一時金は退職所得とみなされる。

退職金だけを見ても、確定拠出年金だけを見ても、退職後のお金は決まりません。公的年金、貯蓄、生活費、働く期間まで含めて、全体で考えることが大切だと私は考えます。

退職前後のお金を、全体で整理したい方は、退職・セカンドキャリア設計のページもご覧ください。

参考にした公的資料

  • 国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」(令和8年4月1日現在法令等)
  • 厚生労働省「確定拠出年金制度の概要」(更新日の記載なし)
  • 厚生労働省「年金資産の持ち運び(ポータビリティ)」(更新日の記載なし)
  • 厚生労働省「iDeCoの概要」(更新日の記載なし)

確認日は2026年10月18日です。

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金子英司(CFP®・FP1級)

金子FP事務所代表。28年間、営業・宣伝・マーケティングに携わり、50代で早期退職。資産運用と人生設計をテーマに、意思決定のための情報整理を発信しています。

※これは一般的な情報提供であり、個別の投資助言ではありません。

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