金子FP事務所
退職金・年金受給最適化

50代で早期退職すると、年金はどう変わる?繰下げ受給と加給年金の考え方

「50代で会社を辞めたら、年金はどうなるのだろう。」

早期退職を考え始めると、年金への不安は大きくなります。この記事では、早期退職で年金がどう変わるかと、受け取り始める時期を遅らせる「繰下げ受給」、配偶者などがいる場合の「加給年金」の考え方を、日本年金機構の公開資料をもとに整理します。

※金額は2026年10月時点の公開資料に基づきます。年金額は毎年度改定されるため、実際の金額は、ねんきん定期便やねんきんネットで確認してください。

結論:年金はいくらもらえるかは、「何年加入したか」と「いつから受け取るか」で決まる

  • 早期退職をすると、会社員として厚生年金に入る期間が短くなります。老齢厚生年金は、加入期間や報酬額などに応じて決まります。
  • 退職後、60歳になるまでは、国民年金(第1号被保険者)の保険料を自分で納めます。納めた期間が長いほど、老齢基礎年金は満額に近づきます。
  • 年金を受け取り始める時期は、原則65歳です。遅らせる「繰下げ」で増やすことも、早める「繰上げ」で減らすこともできます。
  • まずは「ねんきん定期便」で、自分の加入期間と見込額を確認することから始めます。

早期退職で変わること・変わらないこと

変わること

変わらないこと

早期退職から年金を受け取り始めるまでの期間(公的年金の収入がない期間)をどう乗り切るかは、「年金受給開始前の『無年金期間』はどう乗り切ればいいですか?」で整理しています。

国民年金の保険料を納めないと、年金はどれだけ変わる?

  • 20歳から60歳までの40年間、保険料をすべて納めると、老齢基礎年金は満額です。令和8年度の満額は、昭和31年4月2日以後生まれの方で年額847,300円です(日本年金機構)。
  • 満額を40年(480か月)で割ると、1年分の納付は、年額でおよそ2万1千円に相当します(847,300円÷40年で計算した目安です)。
  • 退職後に収入が減って納めるのが難しい場合は、免除や納付猶予の制度があります。免除を受けた期間は、免除の種類ごとに決まった割合で年金額に反映されます。
  • 免除や納付猶予を受けた保険料は、あとから納める「追納」ができます。追納できるのは、承認された月の前10年以内の期間です。承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納すると、加算額がつきます。1年分を追納すると、老齢基礎年金は、全額免除期間で年約1万円増えます(日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」)。

繰下げ受給とは:受け取りを遅らせて、年金を増やす

  • 老齢基礎年金と老齢厚生年金は、66歳以後に請求を遅らせると、増額された年金を受け取れます。両者は別々に繰り下げられます(日本年金機構「年金の繰下げ受給」)。
  • 増額率は「0.7%×(65歳に達した月から繰下げの申出月の前月までの月数)」です。上限は75歳までで、最大84%の増額です。
  • 増額された年金は、生涯続きます。

繰下げの注意点

  • 加給年金や振替加算は、増額の対象になりません。繰下げの待機期間中は、これらを受け取れません。
  • 繰下げた年金は、税金や、医療・介護の自己負担、保険料に影響する場合があります。
  • 65歳から66歳の間に障害年金や遺族年金の受給権があると、繰下げの申出ができない場合があります。
  • 繰下げが有利かどうかは、受け取り始めてからの年数や、生活資金、他の収入などによって変わります。一律にどちらがよいとは言えません。

繰上げ受給とは:早く受け取る代わりに、減額される

  • 60歳から65歳になる前に請求すると、年金を早く受け取れます。昭和37年4月2日以後生まれの方の減額率は「0.4%×(繰上げ請求月から65歳に達する日の前月までの月数)」で、最大24%です(日本年金機構「年金の繰上げ受給」)。
  • 減額は、生涯続きます。
  • 繰上げ請求をすると、国民年金の任意加入や保険料の追納ができなくなります。障害年金の請求や寡婦年金の受給にも影響します(同上)。
  • 早期退職後の収入に不安があるときに、検討する人もいます。ただし、減額が一生続くことを踏まえて、慎重に考えます。

繰上げと繰下げのどちらが得かについては、「年金は繰り上げ・繰り下げ、どちらが得ですか?」もご覧ください。

加給年金とは:配偶者などがいる場合の上乗せ

  • 厚生年金の被保険者期間が20年以上ある方が、65歳になったときに、生計を維持している65歳未満の配偶者や、18歳到達年度の末日までの子がいる場合に加算されます。届出が必要です(日本年金機構「加給年金額と振替加算」)。
  • 令和8年4月からの額は、配偶者の加給年金額が243,800円です。受給権者が昭和18年4月2日以後生まれの場合は、特別加算179,900円を含めて、合計423,700円です。
  • 配偶者が65歳になると、加給年金は終わります。配偶者が一定の老齢厚生年金を受け取る権利を持つ場合なども、停止されます。
  • 加給年金が終わるとき、配偶者自身の老齢基礎年金に「振替加算」が加算される場合があります。対象は、大正15年4月2日から昭和41年4月1日までに生まれた方で、ほかにも条件があります。
  • 早期退職で厚生年金の加入期間が20年に届かない場合は、加給年金の対象にならない可能性があります。加入期間は、ねんきん定期便で確認します。

自分の年金はいくらもらえる?見込額の確かめ方

  1. 「ねんきん定期便」または「ねんきんネット」で、加入期間と見込額を確認する。
  2. 退職日の翌日から14日以内に、国民年金の加入手続きをする(すぐに会社員になる場合を除く)。
  3. 収入が減って保険料の納付が難しいときは、免除・納付猶予を相談する。
  4. 繰下げや加給年金は、年金事務所の年金相談で、個別の状況を確認する。

退職後の資金計画全体は、50代で早期退職するには、いくらあれば足りる?辞める前に確認したい5つのお金や、早期退職すると資産は何歳まで持つ?「資産寿命」の計算方法も参考にしてください。

年金の見込み額を入れて、資産がいつまで持つかを試したい方は、退職金・年金・資産寿命シミュレーションをご利用ください。

よくある質問

Q. 早期退職すると、年金は減りますか。

会社員として厚生年金に入る期間が短くなるため、老齢厚生年金は、加入を続けた場合より少なくなる傾向があります。具体的な金額は、加入期間や報酬額で変わります。ねんきん定期便で確認してください。減り方の考え方は、「早期退職すると将来の年金額はどのくらい減りますか?」でも説明しています。

Q. 繰下げは、何歳まで待つのがよいですか。

一律の答えはありません。増額率は1か月あたり0.7%で、上限は75歳(最大84%)です。受け取り始めるまでの生活資金、健康状態、他の収入、税や社会保険料への影響などを合わせて考えます。

Q. 加給年金は、繰下げても受け取れますか。

繰下げの待機期間中は受け取れません。また、繰下げによる増額の対象にもなりません。

参考にした公的資料

いずれも日本年金機構の公開ページです。確認日は2026年10月9日です。

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金子英司(CFP®・FP1級)

金子FP事務所代表。28年間、営業・宣伝・マーケティングに携わり、50代で早期退職。資産運用と人生設計をテーマに、意思決定のための情報整理を発信しています。

※これは一般的な情報提供であり、個別の投資助言ではありません。

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