早期退職したら健康保険と年金はいつまでに手続き?私の場合
「会社を辞めたら、健康保険と年金は、どうなるのだろう。」
早期退職を考える人が、お金の次に不安になるのが、辞めた直後の手続きです。会社が手続きをしてくれていたことを、辞めた翌日から、自分で行うことになります。
この記事では、早期退職したあとの健康保険と国民年金の手続きを、期限とあわせて整理します。後半では、2024年2月に50代で早期退職し、健康保険は任意継続を選んだ私(金子)の場合を、事実の範囲で書きます。
※制度や金額は2026年10月時点の公開資料に基づきます。実際の手続きと金額は、お住まいの市区町村や加入先の窓口で確認してください。
結論:期限があるのは3つ。いちばん短いのは14日
- 国民健康保険に入るなら、退職後14日以内に届け出ます(千葉市の案内。自治体で確認してください)。
- 国民年金に入るなら、退職日の翌日から14日以内に届け出ます(日本年金機構)。
- 健康保険を任意継続にするなら、退職日の翌日から20日以内に申し出ます(20日目が土日祝なら翌営業日。郵送の場合は期限内に必着。協会けんぽ)。
期限を過ぎると、手続きができなくなったり、複雑になったりすることがあります。早めに窓口へ相談してください。退職日が決まった時点で、この3つの期限を手帳に書いておくことをおすすめします。
退職後の手続きは?辞めた日から数える、やることの一覧
退職後にやることは、次の4つです。「いつまでに」「どこで」の順に並べました。
- 任意継続の申出:退職日の翌日から20日以内(郵送は必着)/加入していた協会けんぽの支部
- 国民健康保険の届出:退職後14日以内/市区町村の窓口
- 国民年金の届出:退職日の翌日から14日以内/市区町村の窓口(電子申請も可)
- 国民年金保険料の免除・納付猶予の申請(必要な場合):国民年金の届出のあと/市区町村の窓口、年金事務所
退職後の健康保険は3つから選ぶ
- 任意継続:退職前の健康保険に、最長2年間、続けて入る。
- 国民健康保険:お住まいの市区町村の保険に入る。
- 家族の健康保険(被扶養者):家族の勤務先の保険に入る。扶養の条件は、保険ごとに決まっている。
どれが安いかは、収入や家族の状況で変わります。保険料の試算を取り寄せて、比べて決めます。
退職後の健康保険や税金の手続きが、会社員のときとどう変わるかを、Q&A形式で確認したい方は、「早期退職後、健康保険や税金の手続きはどう変わりますか?」もご覧ください。
任意継続の保険料の決まり方
協会けんぽの場合です(協会けんぽ「任意継続」)。
- 加入条件は、退職日までに被保険者期間が継続して2か月以上あることです。
- 保険料は、退職時の標準報酬月額に、お住まいの都道府県の保険料率を掛けて計算します。
- 標準報酬月額が上限を超える場合は、上限で計算します。上限は変わることがあります。2024年2月に退職した場合の上限は30万円でした(令和7年3月分までは30万円)。2026年10月9日時点の協会けんぽの案内では32万円です(協会けんぽ「保険料について」)。
- 40歳から64歳の方は、介護保険料が加わります。
- 加入期間は最長2年です。途中でやめたいときは、資格喪失申出書を出します。申出日の翌月1日に資格を失うため、やめたい月の前月中に出します(協会けんぽ「任意継続被保険者資格喪失申出書」)。
任意継続と国民健康保険、どっちを選ぶ?比べるときの4つの視点
どちらが安いかは、人によって違います。一律の答えはありません。比べるときは、次の4つを見ます。
- 保険料の決まり方が違う。任意継続は退職時の標準報酬月額(上限あり)、国保は前年の所得と世帯の人数などで決まります(協会けんぽ「任意継続」)。
- 期間が決まっているのは任意継続。任意継続は最長2年間です。2年が終わったあとは、国保や家族の扶養など、別の健康保険に移ります。
- 任意継続は、途中でやめられる。資格喪失申出書を出すと、申出日の翌月1日に資格を失います。やめたい月の前月中に出します。
- 手続きの期限が違う。任意継続は退職日の翌日から20日以内、国保は退職後14日以内です(国保は千葉市の案内。自治体で確認してください)。
迷うときは、退職前に、協会けんぽ(任意継続)と市区町村の窓口(国保)の両方で、保険料の試算を取り寄せます。同じ条件で並べて比べるのが確実です。
私(金子)は、任意継続を選び、1年少しで国保に切り替えました。詳しくは、このあとの「私(金子)の場合」に書いています。
国民年金への切り替えと、保険料の免除・追納
- 会社を辞めて厚生年金に入らなくなると、20歳から60歳までの方は、国民年金に入ります。多くの方は「第1号被保険者」ですが、会社員や公務員の配偶者に扶養される場合は「第3号被保険者」になり、手続きは配偶者の勤務先を通じて行います。第3号には年収などの条件があるため、配偶者の勤務先に確認してください。第1号被保険者の手続きは、退職日の翌日から14日以内に、住所地の市区役所・町村役場などで行います(日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」)。
- 令和8年度の保険料は月額17,920円です(日本年金機構「国民年金保険料」)。令和5年度は16,520円、令和6年度は16,980円でした(日本年金機構「国民年金保険料の変遷」)。
- 退職で収入が減り、納めるのが難しいときは、「退職(失業)による特例免除」があります。失業などの事実が確認できれば、退職した本人の前年所得にかかわらず、免除・納付猶予を受けられます。配偶者や世帯主がいる場合は、その方の所得なども審査の対象になる場合があります。窓口で確認してください。離職票などの書類を添えて申請します。承認されても、翌年度は改めて申請が必要です(日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」)。
- 免除された保険料は、あとから納める「追納」ができます。追納できるのは、承認された月の前10年以内の期間です。承認を受けた期間の翌年度から数えて3年度目以降に追納すると、加算額がつきます。1年分を追納すると、老齢基礎年金は、全額免除の期間で年約1万円増えます(日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」)。
私(金子)の場合
2024年2月に、50代で会社を辞めました(会社名は書きません)。
健康保険
- 退職後は、任意継続を選びました。
- 協会けんぽ千葉支部の料率で私が試算すると、月額はおよそ3.4〜3.5万円です。実際の保険料ではなく試算なので、金額は加入先の案内で確認してください(標準報酬月額の上限30万円で計算し、40歳以上の介護保険料を含みます。保険料率は年度や都道府県で変わるため、ここでは書きません)。
- 1年少しで任意継続をやめ、国民健康保険に切り替えました。役所の窓口へ届けに行き、手続きはオンラインではできませんでした。
- 家族の扶養には入れませんでした。
年金
- 私は年金事務所で手続きしました。届出先は市区町村の窓口です。
- 退職後1年目は、国民年金の保険料と住民税の支払いが重なります。そこで、特例免除を申請しました。
- 免除の期間は、1年2〜3か月です。1年を過ぎてから、一括で追納しました。夫婦2人分の国民年金の保険料で、約50万円弱でした。
- 追納を選んだのは、手元の資金を少しでも運用に回したほうがよいと判断したからです。これは私の判断で、誰にとっても同じ答えになるとは限りません。
手続きで気をつけること
- 期限は、国保14日、国民年金14日、任意継続20日です。退職日を確認して、手帳に書きます。
- 国民健康保険の届出には、健康保険の資格喪失証明書などが必要です。千葉市の案内では、退職日がわかる書類だけでは受け付けられません。届出先は、区役所の市民総合窓口課や市民センターで、電子申請についての記載はありません(千葉市「勤務先の健康保険をやめたとき」、更新日2026年1月21日)。
- 任意継続をやめて国保に切り替えるときは、任意継続の資格を失う日と、国保に入る日が空かないようにします。資格を失った日以降に保険証類を使うと、医療費の保険負担分を返すことになります(協会けんぽ)。
- 国民年金の免除を受ける場合は、将来の年金額に影響します。追納するかどうかは、家計全体で決めます。
退職後の資金計画全体は、50代で早期退職するには、いくらあれば足りる?辞める前に確認したい5つのお金や、50代で早期退職すると、年金はどう変わる?繰下げ受給と加給年金の考え方も参考にしてください。
よくある質問
Q. 任意継続と国民健康保険は、どちらが安いですか。
一律の答えはありません。任意継続は退職時の標準報酬月額、国保は前年の所得と世帯の人数などで決まります。それぞれの窓口で試算を取り寄せて、比べます。
Q. 任意継続は、途中でやめられますか。
はい。資格喪失申出書を出すと、申出日の翌月1日に資格を失います。やめたい月の前月中に出します。そのあとの健康保険(国保か、家族の扶養)の手続きが必要です。
Q. 国民年金の免除は、誰でも受けられますか。
審査があります。退職(失業)による特例免除では、退職した本人の前年所得にかかわらず免除・納付猶予を受けられます。配偶者や世帯主がいる場合は、その方の所得なども審査の対象になる場合があります。基準は年度で変わります。窓口で確認してください。
Q. 免除を受けた保険料は、納めなくてよいのですか。
免除を受けた期間は、年金額に反映される割合が、全額納めた期間より小さくなります。あとから追納すると、年金額が増えます。追納するかどうかは、そのときの資金や考え方で決めます。
参考にした公的資料
確認日は2026年10月9日です。
- 協会けんぽ「任意継続」(更新日の記載なし)
- 協会けんぽ「任意継続被保険者資格喪失申出書」(更新日の記載なし)
- 協会けんぽ「資格の喪失について」(更新日の記載なし)
- 協会けんぽ「保険料について」(任意継続)(更新日の記載なし)
- 協会けんぽ「令和5年度の保険料率」、「令和6年度保険料額表」
- 日本年金機構「国民年金に加入するための手続き」(更新日2025年9月11日)
- 日本年金機構「国民年金保険料」、「国民年金保険料の変遷」
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」(更新日2026年8月3日)
- 日本年金機構「国民年金保険料の追納制度」(更新日2026年4月1日)
- 千葉市「勤務先の健康保険をやめたとき」(更新日2026年1月21日)、千葉市「健康保険の任意継続が終了しました」(更新日2025年9月19日)
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金子英司(CFP®・FP1級)
金子FP事務所代表。28年間、営業・宣伝・マーケティングに携わり、50代で早期退職。資産運用と人生設計をテーマに、意思決定のための情報整理を発信しています。
※これは一般的な情報提供であり、個別の投資助言ではありません。